グラインダーで荒砥ぎ、鎌砥ぎで仕上げ
では、作業していきましょう。
グラインダーには削り粉の飛散ガードがあるとはいえ、使う時は少なからず金属粉が飛び舞いますので鉄粉で目を傷つけないようにゴーグル着用で。
グラインダーに軽く当て、削りすぎないように注意しながら、刃全体を少しずつ削っていきます。
もちろん裏面も。
この段階では切れ味を出すのではなく、あくまで刃こぼれ部分のえぐれ箇所を含めた全体の刃の形状を整えることが目的なので、刃全体が滑らかな曲線を描くように削れたら次の工程へ移ります。
次はある程度の切れ味を持たせるための中砥石工程ですが、斧やナタのように頭部分が大きく重い刃物を砥ぐ時は砥石側を動かす「鎌砥ぎ」で砥いでいきます。
そのため、包丁を砥ぐような据え置いて使うベンチストーンよりもスティック状かプレート状のコンパクトな砥石の方が鎌砥ぎには有効なようです。
今回はファルクニーベンの
フィールドシャープナーCC4の黒面側を使用しました。
CC4は水砥石ですので、数分ほど水につけてから使います。
両面とも中砥石での鎌砥ぎをしっかり施し、最後に「返り」を取るくらいの感覚で仕上げ砥石で撫で上げたら砥ぎは完了。
どのくらいまでの精度で砥ぐかは使い手によって価値観が違うと思うのですが、力強く振り下ろすような使い方をする両手斧の場合、ペーパーカットがサクサク出来るほどキンキンに砥ぐ必要はないので仕上げ工程は軽めに済ますというのが私の持論です。(手斧サイズ以下であれば仕上げ砥ぎもしっかりやって切れ味を出しますが)
これで概ねメンテナンス作業は終了です。
では試し割りしてみましょう。
手近に薪割りするのに適度な薪が無かったので、割るにはちょっと短めですが乾燥中だったモチノキの玉切りを薪割り台にセット。
周りに人がいないことを確認した上で、杵を振るように腕の力を込めずに斧頭の自重だけで振り降ろします。この時、斧頭の加速は腕力は使わず膝と腰で。手は左右のバランスのみに集中。
半生の小型玉切り木とはいえ、すっぱりと割れてくれました。
コントロールもし易く、いい感じの使い心地です。
この古い斧が最後にその役割を果たしたがいつの頃だったのかわかりませんが、メンテナンス前の具合を見るに、使われなくなってから決して短くは無い時間が経過したであろうことは想像に難くないです。
縁あって私の手に巡ってきた古き良き道具ですから、使いこなせるだけの技術を身に着けて永く使っていきたいものです。
せっかくなのでカバーも作っちゃえ
この斧をいただいた時は刃をカバーするような保管具は付いていませんでした。
せっかく手間をかけてメンテナンスしたのですから、使い勝手のことも考えてカバーも作ってしまいます。
ぱぱっと作るだけならグレンスフォシュブルークスのカバーのようなストラップ固定型の方が作るのは簡単です。
カシメで済ませれば縫製無しでも作れますので量産もしやすそうですね。
こんな感じのカバー↓
ですが、どうせ1個しか作りませんし、今回はちょっとだけ手を掛けて袋型カバーにしました。
しかも斧頭に厚みが結構ありますので、駒合わせ縫いで箱状整形。
現物合わせであつらえたので、すっぽり収納ぴったりフィット。
これで安全に保管・運搬ができます。
さて、ひとまず今回の和斧の手入れについては区切りがつきました。
まだまだDIYで弄ったり作ったりしたいものが沢山あるので、整理がつきましたらまたブログにしたいと思います。
ではまた。